生命保険会社のAXAが全世界 で実施した退職後の生活に関する意識調査がネットで発表されている。この種の調査が世界同一基準でこれほど大規模に実施された例はなく、貴重なものだと思 う。特に各国の年金受取額と必要生活費の比較は興味深い。日本では年金受取絶対額はそこそこだが、必要生活費に比べると国際的にとても見劣りがするのだ。
必要生活費に比べての受け取り年金額で見れば、アメリ カ、イギリスなどのアングロサクソン国が断然上位に来る。
それらの国は基本的に自由経済の国だ。競争の結果物価 が低いので安く生活できる上に、その安い生活費のメリットを現役時代を通じて享受でき、浮いた分を貯蓄・投資に回す結果、受け取り年金も多くなっているの だろう。
一方、日本人の退職後の年金(公的年金プラス自己年 金)収入は必要生活費をカバーできていない。その結果、日本の高齢就業者数は国際的に見ても断然多くなっている。生き甲斐のためというより必要に迫られて 働く人が多いのだ。
日本人ももうちょっと消費物資の価格に敏感になるべき ではないか。物価が上がった下がったということよりも、国際的に見てこの価格は妥当かどうかということに敏感にならねばならないように思う。一番大きな支 出項目は食費(含む外食費)。生涯収入を4億円(一部上場企業のサラリーマン)として、その25%程度は占めるだろう。一億円。これが国際水準価格の二倍 程度の価格で支出されているのではないか。生涯を通じて累計で5000万円は損をしている勘定。これだけあれば立派な年金は組める。農水産物の市場開放が サラリーマンの老後を救うのである。